【断面図の作図例】

絵解きをお読みになる前に、「画像だけで、それぞれが何を示している絵なのか?」をご想像できるか試して頂けると幸いです。できるだけ絵だけで分かるようには、描いた積もりなのですが。。。

<ご説明>

断面図は、装置内部構造を示したり、外観では見えにくい外形線を表したり、層構成を示す場合によく使われています。今回は、一般的な中空成形法で作られた樹脂製ボトル(プラスチックボトル)の断面図及びそのボトルを製造する成形金型の断面図をご紹介します。ちなみに中空成形法には、PETボトル等の製造でよく用いられる高速生産に優れたインジェクション・ブロー成形など各種の技術がありますが、ここでは、溶融状態の筒状の樹脂(パリソン)を垂下させて金型内で膨らます「ダイレクト・ブロー成形」の場合の図面をお示しします。

以下、簡単な図のご説明です。なお、断面図のご紹介を主に描いたものであり、金型構造を含む成形技術は公知技術をベースにできるだけ簡単な構造で描いたものですので、その点はご了承ください。

図(a)は製品の包装体(ボトルとキャップ)、図(b)は(a)のB-B線断面図です。

図(A)~(G)は、上記図(b)の空ボトルを製造する金型を断面図で示した例です。

図(A)は分割形式の金型を示す断面図、図(B)はボトルの素材となるパリソンを垂下させる工程を示す図、図(C)はノズルにより圧縮空気をパリソンの内側に吹き込み、パリソンが膨らむ工程を示す図、図(D)はパリソンが金型の成形面に密着するまで膨らみ、成形品を金型通りに形成する工程を示す図、図(E)は左右の金型を開き、成形品を取り出す様子を示す図、図(F)は取り出した成形品からバリ(不要部分)を除去する工程を示しています。以上の工程を経て、図(G)のボトル(当然ですが空容器)が完成します。

以上の断面図では、断面に平行な斜線が施されており、これをハッチングと呼んでいます。ハッチングは材質に応じて使い分けるのが一般的で、今回は、樹脂製であることを示す樹脂用のハッチングや、液体(内容物)を示すハッチング、金属などを示す一般のハッチングを使っています。

余談ですが、製造工程を説明する各図において、最も重要な図面は成形品が完成した図(今回の場合は図(D))であり、これさえ正確に描くことができれば、あとの図面はそのパーツを動かすことで比較的簡単に描けます。もし図(D)の線を間違えると大変で、全図を修正する必要が生じ、しかもハッチングを施す図面であることからも、修正にはかなり手間がかかることなります。

以上、金型の内部構造、成形工程を示すための断面図のご紹介でした。

お役になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。