図形を回転させる作図例のご紹介

Adobe illustratorには、図形を回転させるツールがあります。このツールを使うと、回転中心を容易に設定できるとともに、そこを中心に図形を細かく回転させることができます。

図(1)は、ホッチキスの側面図です。図(2)は、ホッチキスの動作を表した図です。図(2)に示すように、一般に特許図面や取扱説明書などのテクニカルイラストでは、動作途中あるいは動作後の線を、破線(この図では2点鎖線)で示すことがよくあります。実際の作図では、回転させたい線(ホッチキスの上側部分)を選択した後、illustratorの「回転ツール」を選択した状態で、回転中心を回転軸(ホッチキスの軸)に設定し、選択した線をドラッグにより回転させます。そして、回転させた線の属性を2点鎖線にすると、図(2)のような図面が完成します。このように作成した図(2)では、2つの線種により、動作前の図と動作後の図の両方を表すことができます。

もし、2点鎖線があると図面が見づらくなる、あるいは、もっと細かく動作過程を説明したいときは、2点鎖線は使わずに、下記の図(A),(B),(C)のように、複数の図を使って段階的に動作過程を表すことがよい場合もあります。その場合、上下方向の動作では各図を横に並べ、水平方向の動作では各図を縦に並べると、動作の移動量がよく分かり、より見易い図になります。

さらに、下記の図(a),(b),(c)のように、各図を跨ぐように寸法補助線を入れて移動量(この例では、X1,X2)などを記載することもよく行われます。

前述した図(2)は、1つの図面で済むなどの利点がありますが、場合によっては、このように、図面を複数に分けることで「より見易い、より分かり易い図面」を作成することができます。

ちなみに『分かる』の語源を調べますと、「混沌とした物事が分け離されること」とも言われていますので、複雑な図面の、特に動作を説明する図では、「図を複数に分ける」→「分かり易くなる」場合がありそうです。

以上、回転ツールと、動作を説明する図の簡単なご紹介でした。

ご参考になれば幸いです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。